離婚の準備は1年くらいかけるのがよいと言われています。離婚は結婚と同じように人生における大イベントですから、後悔しないように入念に準備を進めていく必要があるのは言うまでもありませんね。
しかし、一時の感情で離婚を決定してしまったり、早くわずらわしいことから解放されたいからとパートナーに言われるがままに離婚手続を進めてしまってはいけません。今回の記事は『あなたが後悔しないための離婚準備』をテーマに、様々な知識をご紹介しますので、離婚を控えているという方はぜひ参考にしてくださいね。
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離婚の準備①|離婚後の資金作りをする
まずは離婚後の資金について考えてみましょう。現在、十分な資金があるという方はこの項目を読み飛ばしてもらってもかまいませんが、一般的には、仕事をしていない女性が離婚する場合は離婚後の当面の生活資金として最低100万円は用意するとよいと言われています。以下で詳しく見ていきましょう。
仕事を探しておく
離婚をしたら、自分(子供がいれば子供の分)の生活費を自分で稼ぎ、家計をやりくりしていかなければなりません。安定した収入を得るためにはやはり安定した仕事につくのがベストでしょう。厚生労働省は「平成 29 年の働く女性の状況」という内容で、女性の労働率に関して以下のように書いています。
女性の労働力率は、「25~29 歳」 (82.1%)と「45~49 歳」(79.4%)を左右のピークとし、「35~39 歳」(73.4%) を底とするM字型カーブを描いているが、
就業希望者を加えた潜在的労働力率は高い
→ 女性の就業希望者(25~54歳)は約262万人
【引用:働く女性に関する対策の概況】
また、女性の再就職が難しかった理由については、以下の通りです。
【引用:女性の再就職等の推進】
全く働いていなかった女性が再就職をするためには、その仕事に関連する資格の有無も大きく関係してくると言えます。年齢にもよりますが、離婚後にすぐに未経験の仕事に再就職することはかなり難しいですから、もしも離婚後に再就職する場合は、経験のある仕事を選ぶか、もしくは、離婚準備中に資格を取っておくことも重要になります。
離婚後に請求できるお金を把握しておく
離婚後には多くのお金が動きます。ここでは「慰謝料」「財産分与」「年金分割」「養育費」の主な4つをご紹介します。
慰謝料
もしもパートナーが離婚原因を作り、それが《法定離婚事由》に該当している場合は、あなたからパートナーに対して慰謝料を請求できます。
《法定離婚事由》
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
【引用:民法第770条】
【参考:離婚の慰謝料相場一覧と慰謝料を引き上げる重要な証拠】
いくら請求できるのかは、何が原因だったのかや、責任を証明する証拠があるのかないのかにもよって変わってきます。この証拠については「離婚の準備②|慰謝料請求のための証拠を用意する」でも詳しくお伝えします。
財産分与
離婚時には、離婚の原因に関係なく財産分与も請求できます。財産分与とは、婚姻期間中に夫婦2人で築いた財産を分け合うというもので、例えば夫が働いていて妻が専業主婦だった場合は、夫の収入によって貯めたお金の半分は妻に分与されることになります。
また、家財やへそくり、債務などのマイナスの財産も夫婦で分け合う形になるので、現在夫婦にどれだけの財産があるのかについてしっかり把握しておく必要があります。
【参考:離婚時の財産分与とは|財産分与で損しないための知識】
年金分割
厚生年金、共済年金を分割する制度のことを年金分割と言います。被保険者である側は、年金を受給できる年齢に達した際に、もう一方の厚生年金の半分を受け取れるようになりますから、例えば離婚時まで専業主婦だった方は必ず知っておきたい制度です。
【参考:離婚時の年金分割とは|年金分割の2つの制度と請求方法】
養育費
子供がいる場合は、離婚後に親権を得た側がもう一方から、子供が20歳になるまでの養育費を受け取ることができます。具体的にいくら受け取れるようになるかは各ケースで異なりますが、家庭裁判所の「養育費算定表」を参考にしてみるとよいでしょう。
公的な助成金を把握しておく
国や公共団体から支給されるお金のことを助成金と言いますが、こちらもしっかりと把握しておくとよいでしょう。代表的なものは、
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 生活保護
などがあります。
離婚の準備②|慰謝料請求のための証拠を用意する
パートナーに慰謝料を請求したい時は、物的証拠があれば慰謝料請求が認められやすく、さらにその程度によってはかなり増額が見込める場合があります。ここではその具体的な証拠について見ていきましょう。
不貞行為の証拠
パートナーの不倫(不貞行為)が原因で離婚する場合は、確実に不倫をしていたという証拠を提出することで自分の主張が認められやすくなります。その際、決定的な証拠と認められるのは以下の証拠です。
- 3回以上ラブホテルに出入りしていることが分かる写真や動画
- 40分以上ラブホテルに滞在していることが分かる写真や動画
- 5回以上不倫相手の自宅に出入りしていることが分かる写真や動画
また、上記以外にも、決定的とは言えませんが、以下の証拠も用意できるのであれば、しておいた方がよいでしょう。
- パートナーの携帯電話の中に残されていた不倫相手とのやりとり(肉体関係の有無が分かるものが望ましい)
- パートナーの携帯電話の中に残されていた不倫相手との写真
- ラブホテルを利用したことが分かる領収書
不貞行為の証拠に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。
【参考:浮気(不倫)の証拠とは?慰謝料請求&離婚回避のための証拠の集め方】
悪意の遺棄の証拠
法律では、夫婦には同居する義務、協力する義務、相互扶助する義務が定められています。この義務に背く行為が悪意の遺棄に該当し、悪意の遺棄により離婚の原因を作ってしまった側に対しては慰謝料を請求できます。具体的には、
- パートナーに生活費を渡さない
- 一方的に家を出て行かれた
- 働けない理由がないのに働こうとしない
上記のケースが挙げられます。そのため、悪意の遺棄を証明するためには以下の証拠が必要になります。
- 生活費が渡されていないことが分かる通帳記録
- 家を出ていかれた日付やそれまでの過程を時系列にしたもの
- 家出先の住まいに関する情報
- 家にこもりっぱなしであることが分かる写真や動画
【参考:旦那が帰ってこない理由と居場所 | 夫の心理を利用する妻がすべき対処法】
セックスレスの証拠
意外かもしれませんが、実はセックスレスを原因に離婚できます。また、それに伴う精神的苦痛を慰謝料という形で、セックスレスの原因を作った側に請求できます。その際ですが、以下の証拠を集めて提出すると増額が見込めます。
- 何が原因でセックスレスになったのかが分かる記録
- どのようにセックスを断られたのかが分かる記録
- セックスレスの期間が分かるメモ
なお、日本性科学会によると、セックスレスとは、1ヶ月以上性交渉がない男女と定義されています。現在、夜の夫婦生活にお悩みの方は以下の記事もチェックしてみてください。
▶「【慰謝料請求可能】セックスレス原因での浮気は違法なのか」
▶「産後の夫婦生活の再開時期|セックスに対する夫婦の本音」
DVやモラハラの証拠
肉体的な暴力行為はもちろんのこと、精神的な暴力行為も受けたという場合は慰謝料を請求できます。その際ですが、具体的にどのような暴力を受けたのかが分かる、以下のような証拠が必要になります。
- 暴力によって受けた傷を撮った写真や動画
- 暴力行為を受けている期間が分かる記録
- 医師による診断書
- 治療にかかった費用が分かる明細
なお、現在パートナーの暴力行為によって命を落とす危険があるという方は、一刻も早くに別居をする、専門機関に相談するなどの対策を取りましょう。
離婚の準備③|別居をする
別居をすることで、パートナーからの暴力を回避できたり、子供に与える悪影響を軽減できる場合があります。また、別居により冷却期間が設けられることで、離婚一辺倒になっていた考え以外のよい選択肢が見つかる可能性もあります。
もしも暴力から逃げるという目的で家を出る場合は、「捜索願不受理届」を提出することで、もしもあなたの捜索願が出されても警察に正式に受理させないことが可能になります。さらには「探さないでほしい」という置き手紙を残しておくことでも、警察は積極的な捜索をしなくなりますから、居場所がバレたくないという場合にはこのような手段が有効です。
【参考:離婚前に別居する5つのメリット|別居を検討すべきケースと注意点】
離婚の準備④|新たな住まいを探す
離婚によって住まいが変わる場合は、前もって住まいを探しておくことをおすすめします。なぜなら、時期によってすぐに引っ越したくても引っ越せない場合があるからです。また、引っ越しには当然ですが、敷金や礼金などが発生します。「離婚の準備①|離婚後の資金作りをする」でもお伝えしましたが、離婚の前にはある程度の生活資金を貯めておくようにしましょう。
離婚の準備⑤|協議離婚する場合は第三者を味方につけておく
日本の離婚の方法はいくつかありますが、90%の方が「協議離婚」と呼ばれる離婚方法を選択しています。協議離婚は“離婚届に双方のサインと捺印をして市区役所に提出する”というもので、つまりお互いに同意の上で行う離婚になります。
平和的な解決をしやすく、裁判手続がないためにわずらわしくありませんが、もしもパートナーの同意を得るのが難しい環境ならば、離婚に肯定的な人の意見を集めるのがよいでしょう。特に、お互いの両親や親族、共通の知人などを味方につけることで、あなたが離婚したがっている意思や離婚するメリットなどがパートナーに伝わり、スムーズな進行が期待できます。
《離婚の流れ》
離婚の準備⑥|裁判離婚する場合は弁護士に相談する
一方は離婚したいが、もう一方は離婚したくないという場合は、離婚できるのかどうかや請求できる慰謝料額などを裁判にゆだねることになります。裁判になれば当然、お互いの主張を、証拠を用いながらぶつけていくことになります。
《離婚の流れ》
裁判には一人でも挑むことはできますが、法のプロである弁護士のサポートがあった方が、主張力が上がり希望が通りやすくなるのは言うまでもありません。また、面倒な事務手続も弁護士に一任することができます。
- どうしても離婚したい
- どうしても高額な慰謝料請求を認めてもらいたい
- どうしても親権を得たい
など、絶対に譲れない理由がある場合は、自分が優位に立つためにも弁護士への依頼を検討しましょう。ほとんどの弁護士事務所は無料相談を実施していますので、まずはアドバイスをもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。
【参考:不倫裁判のメリットと裁判前に心得ておくべき慰謝料の知識】
離婚の準備⑦|精神的に自立する
離婚によってガラッと生活スタイルが変わります。そして、離婚後に生じるひとつひとつの問題に一人で向き合い、一人で決断して処理していかなければなりません。
人に離婚に関する相談をしても、メリットがないわけではありませんが、最終判断を下すのは結局のところ自分自身になります。ですから、感情的になる部分もあるでしょうが、精神を落ち着かせた状態で改めて人生設計をする時間を設け、あらゆる面で将来のリスクに備えておきましょう。
まとめ
離婚の準備をテーマにした今回の記事はいかがだったでしょうか。離婚は結婚の数倍も労力がかかると言われていますが、勇み足で進めた離婚によって自分が損してしまわないためにも、準備は入念に行なっておく必要があります。また、現在、とても感情的にこの記事をお読みになっている方は、
- 離婚をして自分がどうしたいのか?
- 離婚をしてよかったと10年後も思えるか?
- 離婚をすることで子供に与える影響はどういったものか?
- 離婚するタイミングは本当に今なのか?
上記の点を改めて、冷静に考えてみましょう。今回の記事でご紹介した内容が、少しでも離婚をしたい方の準備の参考になれば幸いです。
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