信じていたパートナーに浮気され裏切られると、とてもショックですよね。
「もう二度と、浮気なんてしてほしくない!」
そんなときに役に立つのが誓約書を書かせるという方法です。
今回は、浮気再発防止のための誓約書の書き方や、盛り込むべきポイント、そして実際に使えるテンプレートをご紹介します。
パートナーとの関係の再構築や浮気再発防止のために、ぜひご活用ください。
この記事に記載の情報は2021年11月19日時点のものです
浮気の誓約書とは
浮気をされて悔しいけれど、離婚はしたくない、元のように関係を再構築したい、という場合に有効なのが誓約書です。
相手に浮気した事実を認めさせ、浮気相手との関係を終わらせることを約束させるための文書で、一定の範囲で法的効力を持たせることも可能です。
また法的効力の有無は別としても、誓約書の存在それ自体がパートナーと浮気相手に「二度と浮気はできない」という心理的プレッシャーを与える効果も期待できます。
この記事では、このような誓約書を作成する際に注意すべきポイントや、知っておきたい豆知識をご紹介します。
浮気の誓約書の法的効力とは
先ほどの章で、浮気の誓約書には一定の範囲で法的効力があるとお伝えしましたが、具体的にはどのような効力があるのでしょうか。
書いた内容すべてを守らせることができるのでしょうか。
二度と浮気はしないことに対する法的効力
法的効力があるかどうかの内容について具体的に見ていきましょう。
たとえば、誓約書に「私は二度と●●さんと浮気しません。」と書いたとします。
実はこれは、法律的にはあまり意味がない・重要ではない定めです。
なぜなら、夫婦である以上、配偶者以外の異性と性交渉を行ってはいけないという貞操義務があるため、夫婦はそもそも法律で浮気をしないということが定められているのです。
つまり、誓約書で浮気をしませんと書いたとしても法的にはそれはすでに当たり前のことを注意という意味合いで定めただけ、と評価される可能性が高く、これを定めたからといって、義務の程度が強まったり、別途意味のある効果が生まれたりするわけでもないのです。
浮気したら罰金を払うことに対する法的効力
ではどのように書けば法的効力を持つのでしょうか。
たとえば、誓約書に「次に不貞行為をしたらパートナーに200万円払います。」と書いたとします。
このような違約金や損害賠償金の定めは、一定の範囲では法的効力が認められます。
例えば上記のような定めを置いた上で、相手がこれに違反して不貞行為を行った場合、誓約書の通り200万円の支払いを求めることは可能と思われます。
詳しく説明すると、夫婦である異性以外と性行為をすることは、夫婦間の貞操義務に反する行為として法律上損害賠償請求の対象となります。
そのため、このような誓約書の有無にかかわらず、不貞行為を行った相手配偶者に対して損害賠償請求(慰謝料請求)をすることは可能です。
しかし、誓約書で妥当な範囲の金額まで定めて合意させておけば、精神的苦痛の程度を立証しなくとも、合意した金額で賠償するよう求めることが可能になるのです。
仮に誓約書で違約金の合意をしない場合は、慰謝料額は夫婦の婚姻期間や不倫をしていた年数など、諸般の事情を総合的に考慮して妥当な範囲で裁判所が決定します。
他方、誓約書があれば、事前に浮気した場合にその金額を支払うことを合意しているため、「次に浮気をしたらパートナーに200万円払います。」という内容通りに200万円を請求することができるのです。
これを、『損害賠償額の予定』といいます(民法420条1項)。
注意していただきたいのは、誓約書に金額を書いたとしても、妥当な金額でなければ違約金の合意の効力は否定され、合意どおりの金額での請求は認められない可能性が高いということです。
たとえば「次に浮気をしたら1億円払います。」という内容であると、浮気をした本人の収入や浮気の期間などから妥当な慰謝料と判断されることはかなり難しいため、浮気の慰謝料の相場から金額を決めた方がよいでしょう。
【関連記事】 不倫慰謝料相場は50~300万|相場以上に請求するための証拠とは
浮気の誓約書に書かせるべき内容

この章では、法的に効力を持たせるための誓約書の書き方について具体的に見ていきます。
なお、ここで記載した事項が全て含まれていれば誓約書は絶対に有効になるというわけではなく、逆にこれら事項の一部でも記載がないと誓約書の効力が否定されるということでもありません。
あくまで、一般的に誓約書に盛り込む内容はこのようなものだよ、という感覚で参考にしてもらえればと思います。
普段から誓約書を書き慣れているという方はかなり少ないと思いますので、せっかく書いた誓約書が無効にならないよう、ぜひ参考にしてください。
浮気した事実を認めさせる内容
まずは、浮気をした事実を文書でしっかりと認めさせる内容を記載しましょう。
浮気した事実の内容は具体的に書いてください。
- いつから始まったのか
- どこで浮気していたのか
- 相手は誰なのか
- どのような浮気をしていたのか
などを記載しましょう。
「浮気をされたことだけでもショックなのに、わざわざ文書で残すなんて辛くて耐えられない!」という気持ちになってしまう方もいると思いますが、パートナーにしっかりと反省させ、浮気の再発を防ぐためにもしっかりと具体的に書いてください。
謝罪の内容
パートナーに対しての謝罪の内容も盛り込みましょう。
こちらも浮気をしたことをしっかりと認めさせ、反省させるためにとても重要です。
禁止事項の具体的内容
浮気再発防止のためにとても重要な内容として、禁止事項についても具体的に記載しましょう。
この禁止事項は、どこから浮気とみなすのかをしっかりとわかりやすく記載することが大切です。
法律的には夫婦以外の異性と肉体関係を持ったら不貞行為とされますが、「2人だけで食事に行ったら浮気!」「LINEで連絡を取り合うのも浮気!」という人もいて、その行動を浮気とみなすかどうかは個人の価値観によってだいぶ変わってきますよね。
また、浮気相手が会社の上司や部下だった場合、「一切の会話や会うことを禁止する」としたとしても現実的に不可能です。
実行の可能性が高く、お互いが納得できるような禁止事項の内容にしましょう。
なお、浮気の定義を広げすぎた場合、そもそも合意の効力が否定される可能性もあります。
例えば、「異性と職場外で口を利いたら浮気とみなす」と決めて、「浮気したら1回10万円支払う」と規定しても、おそらく効力は否定されます。
なぜなら、異性とのコミュニケーションは人間であれば誰しもあり得る行動なので、そのような過剰な誓約を法的に効力があると認めるべきではないからです。
【関連記事】 【浮気はどこから?】男女別・浮気の境界線アンケート結果発表!
万が一破った場合の慰謝料請求についての内容
あまり考えたくないことだとは思いますが、もし万が一また約束を破って浮気をされてしまった場合に備えて、浮気の慰謝料請求についても記載しましょう。
その際、請求する金額も明確かつ具体的に記載してください。
この場合も支払いの実現性が高く妥当で、お互いが納得する金額を設定するようにしましょう。
万が一破った場合の財産分与や親権、養育費についての内容
慰謝料請求の金額同様、以下の内容についても記載しておきます。
- 夫婦での共有財産の財産分与の方法
- 子供がいる場合の親権について
- 子供がいる場合の養育費について
など
浮気をしてほしくないだけなのに、誓約書に離婚した場合の詳しい内容まで書かなければいけないなんて、嫌な気持ちになる方もいるかもしれません。
しかし、ここまで詳しく書くことによって、パートナーに「次、もし浮気したら本当に離婚になってしまって取り返しがつかないことになってしまう」と思わせることができ、あなたの本気度が伝わります。
結果的に浮気防止の強い効果になりますので、しっかりと記載してくださいね。
ただし、親権の有無、財産分与の方法、養育費の有無について誓約書で定めても、必ずしもそのとおりの内容が実現されるわけではありません。
これらは最終的には、そのような合意をしたという事実を踏まえて、裁判所の調停や審判で判断されることです。
浮気の誓約書テンプレート
この章では浮気の誓約書のテンプレートをご紹介します。
あくまでサンプルですので、もし法律事務所に任せる場合、多少異なってくることもありますが大まかな流れはこちらで問題ないかと思います。
夫婦間の誓約書テンプレート
夫婦の間で交わす誓約書のテンプレートからご紹介します。
私、〇〇〇〇は、×年前の×月頃より職場の××××さんと男女として親密な関係を続けていました。その結果、妻の●●●を深く傷つけてしまいました。結婚してからこれまで少しずつ信頼関係を築いてきたにもかかわらずこのような不実な行動を取ってしまい、本当に申し訳なく思っております。
このたびこの不実な関係を清算するにあたり、今後二度と××××さんと二人きりで会ったり、プライベートな連絡を取ったりしないこと、妻の●●●以外の異性と親しくつき合うことなど、浮気と見なされる行為(不貞行為)を行わないことと、次のことを約束します。
〇〇〇〇を甲とし、●●●を乙として、次の通り契約を締結する。
第1条 甲と乙は、互いに貞操を守り、不貞行為をしない。
第2条 甲あるいは乙が不貞行為をした場合、直ちに相手方に対して、損害賠償として500万円を支払う
第3条 本契約より甲乙間の財産分与および慰謝料に関する紛争は一切解決したものとし、以後互いに何らかの請求をしない。
第4条 甲、乙は今後、相手方および相手方の関係者(勤務先を含む)に一切連絡をしない。
第5条 甲あるいは乙が不貞行為をし離婚に至った場合、不貞行為をはたらいた者は財産分与に関して所持している財産の2割以下しか受け取れない。
本契約は秘密とし、他に漏らさない。
本契約を証するためこの証書を作り各署名・押印し各その1通を保有する。
〇〇〇〇年〇月〇日
住所
氏名(甲)〇〇〇〇 印
住所
氏名(乙)●●● 印
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浮気相手への誓約書テンプレート
夫婦間だけでなく、浮気相手にも誓約書を書かせることでより再発防止の効果があります。
しっかりと浮気相手にも誓約書を書かせるようにしましょう。
私、〇〇〇〇は、×年前の×月頃より職場の××××さんと、配偶者がいることを知りながらも男女として親密な関係になっていきました。
自らの軽率な行いによって××××さんの奥様を傷つけ、不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません。
今後いかなる理由があろうとも、××××さんとのプライベートなかかわりを一切絶つことを誓います。
万が一これに反する行為をした場合は、●●●●さんから慰謝料金300万円を請求されても異存なく、速やかに上記の金額を一括にて支払うことを本書面にて誓約致します。
××××年×月×日
住所
〇〇〇〇 印
住所
●●●●殿
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誓約書についての注意点まとめ

では、ここまでにご紹介してきた浮気の誓約書について、特に注意してほしい内容をまとめておきます。
誓約書を書き終わった後にも、もう一度以下の事項について確認してみてください。
正式な書類には実印がベスト
誓約書を書くときは手書きでもいいのか、ワープロなどの文字がよいのか迷われるかもしれませんが、結論から言いますとどちらでもかまいません。
ただし、署名捺印はしっかりしてください。
署名捺印がしていないと法的に無効となってしまいます。
また、捺印は正式な書類とみなしてもらえるよう、実印を用いると安心です。
誓約書の内容を破ったときの対応
誓約書に書くべき内容の部分でご紹介しましたが、もし再び浮気をして誓約書の内容を破ったときに
- いくらの慰謝料を払うのか
- 離婚するのかしないのか
- 離婚する場合は財産分与をどうするのか
- 離婚する場合は親権をどうするのか
など、具体的に誓約書に反した時の対応について書いておきましょう。
ここの部分が具体的であればあるほど、再発防止の効果が高まります(ただ、必ずしも合意内容が実現されるわけではないことに注意しましょう)。
離婚した時点で誓約書の内容は無効になる
離婚してしまったあとは夫婦関係が解消されますので、元の夫や妻の行動を制限することはできません。
誰と男女の関係を持とうと、誰と結婚しようと自由です。
つまり、離婚した時点で浮気の誓約書の効力は基本的に無効になるということですね。
過剰な内容は無効になる可能性もある
誓約書に記載する慰謝料請求額の部分でも少し触れましたが、あまりにも過剰な内容を記載すると誓約書自体が無効になってしまう可能性もあるので注意してください。
「浮気したら1億円払う」「浮気したら死んで詫びる 」など、現実的に不可能、すべきではないような内容を記載するのはやめましょう。
実現の可能性が高い内容にして、万が一のときにお互いが納得する内容にしておくことが大切です。
もし内容に不安がある場合は弁護士などの専門家に相談するのもよいかと思います。
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もし誓約書を書かせる直前で言い逃れされそうになったら
今回ご紹介した誓約書の作成方法をもとにして誓約書を相手に書いてもらえば、もし万が一再び浮気をされてしまったとしても、法律があなたを守ってくれます。
しかし、往生際が悪い相手だと誓約書を書かせる直前で「本当は浮気していない」と言い逃れしようとする場合もあります。
そんなときはどうすればよいのでしょうか。
法的に言い逃れできない証拠を突き付ける
言い逃れされないようにする方法としては、言い逃れができない証拠を突きつけるしかありません。
具体的には、結婚していながら他の異性と肉体関係があったことを証明できるような証拠です。
ラブホテルに出入りする写真や相手の自宅に出入りする写真 がそれにあたります。
しかしそのような写真を素人が撮ろうとしても、相手にバレてしまったり、写真が鮮明に撮れず証拠として機能しなかったりするので、自分で証拠を掴むのが不安な時は探偵に依頼した方が安心かもしれません。
【関連記事】 不倫の証拠はこう掴む!裁判で使える証拠と掴んだ証拠の活用方法
まとめ|誓約書の作成・行使が不安な場合は専門家に相談すべき
浮気の誓約書を書き慣れているという方は専門家以外ほとんどいらっしゃらないと思います。
浮気の誓約書の法的効果は書けば必ず認められるというものでもありませんし、誓約書を作成したものの、万が一再び浮気をされてしまったときにどのように行使したらいいのかわからない場合も多いでしょう。
そのようなときは、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
二度と辛い思いをしなくてすむように、また、万が一のときに泣き寝入りしなくても済むように、しっかりと対策をしておいてくださいね。
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