夫婦関係で溝ができたとき、残念ながら離婚というかたちを選ばざるを得なくなったり、あるいは関係を修復しようと考えるでしょう。
家庭裁判所ではこのようなときに調停を受けることができ、離婚を目指すのであれば離婚の可否や慰謝料、親権などについて話しあったり、関係修復を目指すのであればどうすれば円満な夫婦生活が送れるようになるのかなどを話しあったりすることができます。
夫婦での話し合いが上手くまとまればそれでいいのですが、上手くいかなかったり、話し合いができない場合にこのような調停が選択されます。
関係修復を目指す調停を夫婦関係調整調停(円満)、離婚を目指す調停を夫婦関係調整調停(離婚)といいますが、この2つは具体的にどういうものであるか、必要な費用、書類などをそれぞれ紹介させていただきます。
この記事に記載の情報は2021年03月31日時点のものです
夫婦関係調整調停
夫婦関係調整調停には関係修復を目指すものと離婚を目指すものの2つがあると冒頭にて説明しました。
夫婦関係調整調停(円満)のことを円満調停、夫婦関係調整調停(離婚)のことを離婚調停と言います。
以下では主に、それぞれ円満調停、離婚調停と表記させていただきます。
円満調停=夫婦関係調整調停(円満)
円満調停とは夫婦関係がなんらかの理由で悪くなってしまった時に、良好な関係へと修復する調停です。
家庭裁判所にて男女一名ずつの調停委員が夫婦のあいだに入り、これまでの過程やどんな問題が発生しているかを聞き、どのように改善するかを考えます。
円満調停でかかる費用の種類と価額
郵便切手に関しては利用する裁判所によって異なります。
円満調停における必要書類
円満調停で必要な書類は下記のとおりです。
添付書類として下記の書類も必要です。
- 申立書3通(申立て本人の控えと裁判所用と相手用)
- 夫婦の戸籍謄本1通
- 連絡先の届出書 1通
- 非開示の申出書
- 事情説明書 1通
- 子についての事情説明書 1通
- 進行に関する照会回答書 1通
- 連絡先等の届出書 1通
円満調停の流れ
基本的に後述の離婚調停の流れに似ていて、申立をおこなった後に1ヶ月から2ヶ月後に一回目に調停をして、必要であれば複数回の調停を繰り返した後、双方合意すれば調停成立、合意できないならば調停不成立です。
同居する時期や同居するためのルールの取り決めをして書記に調停調書を作成してもらいます。
離婚調停=夫婦関係調整調停(離婚)
円満調停と名前が似ていますが、こちらは離婚をするための調停です。
調停離婚と言って、話がまとまらなかったり、話し合いができない場合に夫婦関係調整調停(離婚)を利用することになります。
調停や裁判ではなく、夫婦間だけで話し合い離婚の取り決めをおこなうことを協議離婚と言います。
関連記事:別居は離婚への近道|別居から離婚する5つのメリットと注意点
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離婚調停でかかる費用の種類と価額
離婚調停をするにあたってかかる費用は下記の2つです。
郵便切手については利用する裁判所にて詳細をご確認ください。
離婚調停における必要書類
離婚調停で必要な書類は下記のとおりです。
申立書は円満調停と同じ書類で、裁判所にて無料でもらうことができます。またこちらの
裁判所の公式サイトでもダウンロードが可能です。
戸籍謄本は本籍地の市区町村にて450円で取得することができます。
またほかにも添付書類として下記の書類を提出します。
- 申立書3通(申立て本人の控えと裁判所用と相手用)
- 事情説明書1通
- 連絡先等の届出書1通
- 進行に関する照会回答書1通
- 夫婦の戸籍謄本1通
これらの他に調停に年金分割割合についての申立てがあるときは、年金分割のための情報通知書も必要です。
離婚調停の流れ
複数回の調停をおこなった結果、話が上手くまとまれば合意ということで調停成立になります。
一方、何回調停をおこなっても話がまとまらなかったり、相手が調停に来ない場合は調停不成立になり、次の段階へ行きます。
夫婦の意見がわずかな違いであり、それを理由に成立できない場合や、離婚成立間近で相手が調停に来ないときは家庭裁判所の判断で離婚を成立させることができます。
これを【審判離婚】と言います。一方、夫婦間で全く話が合わずまとまらず調停不成立になった場合、【裁判離婚】を提起することができます。

夫婦関係調整調停のメリット・デメリット
円満調停と離婚調停をするにあたってのメリットとデメリットを説明させていただきます。
基本的にこの2つは名前と当事者の目的が異なるだけであって、調停委員の元で話をし、解決策を考え目的達成を図るという点では同じです。
途中でもう一方に切り替えられることから分かる通り、当事者がこれから夫婦関係をどうしたいかを悩み考える場と考えた方がいいかもしれません。
メリット
中立的な立場の人間がいる
もともと夫婦間での協議がどうにもならないときに使われる調停離婚ですが、意見の食い違う二人のあいだに男女それぞれ1名の調停委員が入ることで第三者の視点が介入することになります。
相手方配偶者だけでなく調停委員の言葉を聞くことで考える機会にもなるでしょう。
調停調書が作られる
離婚調停では慰謝料の支払の可否やその額、また子どもの養育費について決めます。これらの内容は調停調書という書類に書き残され、法的な強制力が発生するのです。
もし相手方がその取り決めを守らない場合でも調停調書があれば強制執行がされます。ただし金銭関係以外の取り決め(生活態度の改善など)には強制力はなく、あくまで円満な夫婦生活に向けた目標であると考えましょう。
とは言っても、なかなか夫婦だけでそのような生活への指針は建てられませんから、強制力がないからといって無駄ではないと思います。
顔をあわせなくていい
二人で話し合った場合、口喧嘩になってしまうこともあるでしょう。場合によってはもっと危険なことにもなりかねません。
円満調停ではお互いの顔を見ることなく、調停委員を通して主張をしたり、相手の考えを聞くことになるので、そのようなことにはなりません。
デメリット
調停は平日におこなわれる
調停は平日の昼間におこなわれ、土日祝日はできません。したがって平日働いている人であれば、おおよそ月一回の調停のために仕事を休む必要があります。
調停が成立するまで時間がかかる
まず申立をしてから一回目の調停までの期間が1ヶ月から2ヶ月ほどです。通常1回の離婚調停で決まることはなく、2回、3回と回数を重ねることで話をまとめていきます。
1ヶ月1回ペースですから、当然1回増えれば1ヶ月程度調停をしている期間が伸びます。前述のとおり、調停は平日にするものなので、平均的なサラリーマンであれば毎月休みを取らざるをえない状況になります。
他に留意すべきところ
円満調停と離婚調停は途中で切り替えることができる
円満調停と離婚調停の申立書は同じもので、そこに円満か離婚か希望する方を記入します。
だからといって申立書に記入した方で突き進まなければいけないのかと言えばそれは違い、途中でもう一方に切り替えることができます。(例えば円満調停をしていたが、話し合いの末、離婚を目指そうということになれば離婚調停にできる)故にそもそも関係修復か離婚かで迷っている場合でも調停を利用することができます。
原則的に裁判の前に調停をしなければならない
離婚のながれとして、まず協議をおこない、次に調停をします。それでも話がまとまらない場合は裁判になるのですが、離婚をはじめとした家庭の問題に関してはまず調停をおこなってから裁判をしなければなりません。
例外として、なんらかの事情で相手が調停に来ない場合です。調停は当事者である夫婦二人が参加しなければならないので、どうしても相手が来なければそもそも調停ができません。調停を経ずに裁判を起こすことが認められる場合もあります。
年金分割の割合を定める審判又は調停とは
離婚をした時に年金の分割割合についての協議がうまくいかなかったときに、その割合を裁判所に決めてもらったり(審判)、調停をしたりすることです。
受けることができる期間は離婚をした日の翌日から2年未満です。
この年金分割の割合を定める審判と調停は離婚後に受けるものであり、同時に離婚もおこなう場合(離婚前)には、前述の離婚調停にて年金分割の割合を決めることができます。
慰謝料請求調停とは
精神的な苦痛を受け離婚せざるを得ない状況になったとき、相手方配偶者から慰謝料を請求することができるのですが、当事者間で話がまとまらないときに家庭裁判所にて慰謝料請求調停を受けることができ、離婚前の場合、離婚調停で慰謝料を申立できます。
不倫の場合、相手方配偶者の不倫相手にも請求するような場合がありますが、こちらの慰謝料調停は簡易裁判所で行うことになります。
浮気が原因で調停を考えている方へ
相手方配偶者の浮気で離婚調停をしたい場合、相手の同意さえあれば慰謝料請求が可能です。
ただ相手が浮気を認めず裁判にまで進展したときは、相手が不貞行為をしたということが認められなければなりません。
法律上の不貞行為とは配偶者以外との肉体関係を持つことですので、まずはそのような証拠を集める必要があります。
行為自体の写真や動画を見つけるのは難しいかもしれませんが、肉体関係を推測できるようなメールや電話の記録、ホテルへ出入りしているところの写真などがあれば不貞行為と認められるかもしれません。
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まとめ
夫婦関係調整調停は回数がかさめば時間もかかってしまいますが、第三者を通じ(調停委員)相手の意見を聞く良い機会です。
はじめに離婚を希望してはいたが、途中でやっぱりやり直したいと思うこともあるかもしれません。もちろん離婚が最悪のシナリオとは限りません。話し合った結果、離婚が二人にとって最善策である、ということもあるでしょう。
そのときは親権や年金分割など自分の新しい生活に向けた主張をしっかりしていき後悔のないようにしましょう。