「夢の専業主婦」と、専業主婦は女性の憧れと言われており、結婚は「永久就職」といわれる職業だったのを覚えていますか?しかし、そのような専業主婦像はもう昔の話になってしまいました。下の表をご覧ください。
【参考:令和元年版人口動態統計月報年計(概数)の概況】
これは厚生労働省が公表している婚姻・離婚件数を表にしたもので、表を見ると分かるように夫婦の約3組に1組は離婚しています。そのため、専業主婦だった人も自分で働かないといけない可能性も出てくるのです。
ここでは、専業主婦の方が離婚したい、もしくは、離婚を切り出された場合の離婚方法や今後の生活に困らないための方法などをまとめました。
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専業主婦が離婚を切り出す前に考えるべき5つのこと
勢いで離婚を切り出してしまうと、今後の生活に苦労し後悔をすることになります。離婚を切り出す前に以下のようなことを考えておきましょう。
何を理由に離婚をするのかをはっきりさせる
2人で話し合って離婚する分には離婚の理由は特に必要はありませんが、話し合いにおいて離婚したくないという相手を納得させやすくなります。また、裁判離婚を行う際には離婚するための理由が必要です。
子供に関する問題を決める
親権をどちらが持つか
子供がいれば親権をどちらも欲しいのは当然です。親権争いをした場合、裁判所が公表している「司法統計」では約93%の割合で母親が持つという結果になっています。ですが、経済的に養育が難しいとなれば、親権が父親に渡る可能性は十分にあり得ます。
また、自分自身の心身がしっかり安定している、養育に十分な時間が割ける、周囲に養育に携われる人がいるなどが親権を持つためのポイントです。
養育費はいくらにするのか
養育費は子供が生活するために必要な費用で、養育費の支払は法律上の義務となっており、たとえ離婚したとしても支払う必要があります。養育費は多ければ多い方がいいのは当然です。
しかし、相手の収入に見合わないような大金にしてしまうと、結果として支払が途中で途切れてしまう可能性が高くなります。
無理のない金額を請求するためには、個人で計算するのは難しいと思われますので、裁判所のホームページに公開されている「養育費用算定表」を参考にしてみてください。
交流面会権について
親権を持っていない方の親は、子供に会う権利があり、これを面会交流権と言います。離婚時にはこれについても決める必要があり、決める内容は主に、回数、場所、時間、面会交流時のお金の負担はどちらがするかなどです。
相手にいくらくらい財産があるのか
離婚する際に財産分与を行いますが、財産分与をする場合、相手がどのくらい財産を持っているか把握することが大切です。相手の財産を把握していないと、離婚の際、財産を隠されてしまう可能性があるからです。
慰謝料の請求
慰謝料とは、精神的な被害に対し、償い目的で支払われる金銭を指します。そのため、離婚時に必ずもらえるということではありません。また、一般的な慰謝料の相場は下の表のようになります。
DV・モラハラ |
50万円~300万円 |
不倫・浮気 |
50万円~300万円 |
悪意の遺棄 |
10万円~200万円 |
セックスレス |
10万円~150万円 |
【参考:離婚の慰謝料を徹底解説|相場・請求できるケース・証拠・税金・時効まで】
慰謝料は婚姻期間の長さなどで変わってきます。一度離婚に強い弁護士に相談することによって、有利に獲得することが望めるのです。
離婚後の就職は
専業主婦だった人が就職するには?
離婚後自分で働いて生活しなければいけません。しかし、長年専業主婦をしてきた人は就職できるのかどうか不安ですよね。就職を成功させるには5つのポイントがあります。
- 子供を預けられるところを確保する
- 正社員にこだわらない
- 良い求人にはひたすら応募する
- 離婚前に資格を取得する
- 就職のプロに相談する
このように、まずは子供を預かってもらえるところを確保しましょう。会社によっては保育所併設の場合もありますので、子供が小さい場合はそのような会社を狙ってみるのも1つの手段です。また、資格があった方が優遇される確率が高いので、離婚前に資格を取得するのもいいかもしれません。
【関連記事】
子持ちの女性が転職をする際に知っておきたい知識とは
専業主婦がパートするのに人気の職種
1位 | 事務スタッフ |
2位 | レストランスタッフ |
3位 | 軽作業ワーク |
4位 | コンビニ・スーパースタッフ |
5位 | 受付・医療事務 |
【参考:主婦に人気の仕事はコレ!【人気のパートランキング&おすすめの職種】】
これ以外にも、子育てを活かせる仕事(ウェディング関係や子供用品など)がおすすめです。また、家から近い、シフトに自由が利くなどの条件も確認することで、無理なく働くことができます。
離婚後の住居
離婚後は今の家を出ていく場合が多いと思います。家に残る場合や実家に帰る場合は特に心配いりませんが、引っ越す場合は早めに住居を確保することが必要です。
引っ越す地域は子育て支援が厚い地域にすると生活が楽になります。
また、公営住宅に住むこともおすすめです。家賃が収入によって決まるので、東京でも収入が0円~約16万円の場合、2DKに2万円以内で生活することができます。
夫に離婚を切り出す直前にしておいた方がいい準備
離婚を切り出して「はい、そうですか」となる夫婦はそんなに多くないと思います。何かしら揉める場面が出てきてしまうので、以下の準備をしてから切り出しましょう。
- 話がこじれた際に逃げ込める場所を家の外に確保しておく(実家・友人宅など)
- 逃げることを想定し軽めに荷造りをしておく
- 子供は事前に預けておく
- 話をするテーブルの周囲のものを片づけておく
- 離婚届を準備しておく
上記のような下準備が必要です。
3つの離婚方法
離婚には3つの方法があります。どのような方法か見ていきましょう。
協議離婚
このように協議離婚とは、相手と話し合って、合意した場合、離婚届に署名・押印をして離婚する方法になります。話し合いによって決まるため、相手が合意すれば離婚の理由や慰謝料請求の理由が詳細でなくてもいいのです。
また、離婚が決まった際には、話し合いで決まった内容を離婚協議書に記載しておきましょう。離婚協議書があれば、離婚時の条件(慰謝料などの金額や支払方法、子供についての取り決めなど)が守られなかった場合に、証拠として裁判を行うことができます。
また、さらに確実に支払ってもらうためには、離婚協議書を「公正証書」にしましょう。離婚協議書を公証役場に持っていき、公証人に公正証書を作成してもらいます。
公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。
「公正証書」には証明力があり、執行力を有しており、安全性や信頼性に優れています。【引用:公正証書とは?|公正証書jp】
予約が必要になりますので、まずは最寄りの役場を公証役場一覧からお探しください。また、公証役場では公正証書などに関しての相談を無料で行なっています。
離婚調停
協議離婚がまとまらなかった場合に離婚調停を行います。離婚調停には調停委員と裁判官がおり、夫と妻それぞれと話し合い、お互いの合意が取れたら離婚成立です。
調停離婚は裁判所で行いますが、裁判とは違い、協議離婚のように話し合いと合意によって離婚条件が決定します。そのため、離婚の理由や慰謝料請求の理由が詳細でなくてもいいのです。
また、不成立の場合もう一度調停を行うか、離婚をするかを選ぶことができます。
裁判離婚
裁判離婚では裁判で離婚を取り決めます。そのため、明確な離婚理由や、慰謝料請求の理由が必要です。裁判上で離婚を認められる離婚の理由は、以下のようなものになります。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
【引用:民法第770条】
裁判離婚はお互いの合意ではなく、裁判官が妥当と判断しなかった場合、離婚と慰謝料の請求が認められません。
離婚の話がまとまらない場合は別居をしてみよう
協議離婚などの話し合いでは離婚の話がまとまらないこともあるでしょう。かといって、調停をするほど大ごとにはしたくなかったり、離婚の話がまとまらないまま一緒に暮らしているのは気まずかったり、我慢の限界だったり…。
離婚を切り出す前にこういったことがあってはよりお互いの溝が深まってしまいますから、そのような場合には別居がおすすめです。ここでは別居に関してメリットなどを紹介します。
別居をするメリット
別居をすることでお互い冷静になることができ、離婚についての話し合いがスムーズになります。また、互いの距離が離れることで、今までを振り返り、離婚を取りやめるという可能性もあるのです。さらに、嫌いになってしまった人と離れるため、精神的に楽になります。
別居時には婚姻費用がもらえる!
別居したいけど、専業主婦なのでどこからその費用を出せばいいのか分からない場合もあると思います。ですが、何も心配はいりません。離婚前の別居の費用は「婚姻費用の分担」といい、民法第760条に支払が定められています。
支払金額は「婚姻費用算定表」で求めることができます。また、2人の話し合いで決まらない場合は、「婚姻費用分担調停」を行うことができるのです。
正当性のない別居は同居義務違反になるかもしれない
実は夫婦には「一緒に住んで協力しなければいけない」という民法で定められたルールがあります。これは、夫婦はお互いに助け合っていきましょうというものですが、「単純に一緒にいたくない」「なんとなく」などの理由で別居をしてしまうと、後々離婚の時に、慰謝料が請求できない・子供の親権が取りにくくなるなどと不利になってしまいます。
なので、離婚前に別居をする場合は、その別居に正当性があるか(暴力を受けている、モラハラをされている、不倫をされたなどの事実があるか)を考えてから行いましょう。
離婚後お金に困らないための母子家庭支援制度
離婚後に苦労したくないというのは本音ですが、なかなかそのように行かないのが現実です。実際にどのような苦労をする人が多いのでしょうか。下の表をご覧ください。
このように経済的に苦労する人は多くいるのです。ここでは、そのような苦労を少しでも減らすための母子家庭制度を紹介します。
離婚後の母子家庭に対する生活保護制度
援助してくれる親類がいない、資産を一切持っていない、子供が小さいなどの理由で働けない場合で、月の収入が「最低生活費」を下回った場合に受け取れます。
児童扶養
母子・父子家庭の18歳までの子供に対して支給されるお金です。所得により支給される金額が変わってきますが、全額支給の場合43,160円が月額で支払われます。
毎年8月に児童扶養手当状況届を住居地の市区町村役場に提出することが必要です。
住宅手当
母子・父母家庭で20歳未満の子供がいる家庭で、月額10,000円以上の家賃を支払っている場合に受け取れます。また、この手当は行なっている市区町村と行なっていない市区町村があるため、まず電話かホームページで確認しましょう。
医療費助成制度|母子家庭の医療助成制度とこども医療費組成制度
「母子家庭の医療助成制度」では、親の医療費も助成される場合が多く、また受けられる子供の年齢の幅が広い場合が多いです。しかし、所得制限があるため、該当しないと支給がされない可能性もあります。
該当しないとされた場合は、「子ども医療費助成」を利用しましょう。この制度では、親は助成の対象に含まれず、子供の年齢の幅が狭い場合が多くなります。具体的な内容は各市区町村で変わってきます。
保育料の免除や減額
4月1日時点の入所児童の年齢と保護者の前年の所得額などによって決まってきます。減額になるケースが多いため、利用を考える場合は市区町村に相談しましょう。
国民健康保険の免除
前年度より所得が大幅に減少した場合やケガや病気で生活が困難になった人を対象に、国民健康保険の減額や免除が利用できます。
所得がない又は少ない場合には免除や減額が受けられるので、自分がどのくらいの所得か確認し、各機関に相談しましょう。
電車・バスの割引
各市区町村によりJRやバスの定期乗車券の割引などを行なっています。基本的に三割引が多いのですが、区間によっても異なるため、各市区町村に確認しましょう。
もっと母子・父子家庭の手当や割引について詳しく知りたい方は、こちら「母子家庭(シングルマザー)に役立つ17の手当・支援制度を徹底解説」をご覧ください。
まとめ
離婚後に多くの苦労をするのは専業主婦だけではありません。生活リズムや忙しさが大きく変わるため、なかなか慣れないかもしれませんが、決してできないわけではないのです。
大変かもしれませんが、今の生活がつらく苦しいのなら離婚も1つの手段だと思います。事前準備を怠らず、離婚に関して何か分からないところがあれば、離婚問題に注力している弁護士に一度ご相談ください。
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